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声を掛けられた彼はごまあんを見てかすかに眉を寄せた。 「…それだれから聞いた?」 「イトさんからです。正確には直接聞いたのではなくあなたがイトさんの病室に入られた時イトさんがあなたをそう呼んでいらしたのが聞こえたのですが」 「ミっくんは忘れてくれ…本名はミシンだ」 肩をすくめるごまあんにミシンと名乗った青年はぼそりと言いまた視線をバラへと戻した。 「花がお好きなのですか?」 「…ああ」 「では、その青いバラの花言葉はご存知ですか?」 「…知らない」 「奇跡、と言うのですよ。遺伝子的に不可能と言われていた青いバラですが科学の進歩によって生み出された。まさに奇跡だ、ということのようです。しかし奇跡というのは偶然の重なった結果だという人もいます。偶然の重なった産物だと。またある人は、偶然は必然であり奇跡もまた必然だ、という人もいるのです。例えば今日約束していた訳でなく偶然私とミシンさんがお会いしたこともとある人から言えば奇跡であり、とある人に言わせれば単なる偶然であり、またとある人は必然的な事だと言うのでしょうね」 一人で長々と話すごまあんに対してミシンはじっと花を見つめていた。 ごまあんはミシンが聞いているのかどうかわからなかった。だがなぜかすらすらと口が動いていた。 「…だから何が言いたいんだ?」 ふいにミシンが言葉を漏らした。もちろん視線は花に向いたままだ。 「そうですね…今の話ミシンさんはどう思います?」 ちゃんと聞いていたのですねという言葉を飲み込んでごまあんはミシンに問いかける。 「結構どうでもいい」 「私も一緒です」 「…じゃあさっきの話はなんだ?」 「しいていうならなんとなくでしょうか」 「なんだそれ」 さらりと言ったごまあんの言葉にミシンはあっけにとられたようだった。そんなミシンにごまあんはくすくすと笑った。 とある冬の日の午後、時がゆっくりと流れて行った。
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