畳敷きのせなか(及影)



ジャンプ11号ネタバレ注意





及川さんの部屋は、畳敷きの和室だ。なんとなくイメージとは違って、初めてその部屋を尋ねたときは驚いた。及川さんが照れたように頭を掻いていたのを覚えている。

「初めて来た人にはだいたい驚かれるんだよねぇ」

でも俺はその部屋が好きだった。冬でも床があんまり冷たくないし、ふわりとするイグサの匂いが心地良い。あと入って直ぐに感じる、及川さんの気配。シャンプーとか香水とか、吸い込む空気の中の全てが及川さんの存在を主張している。
部屋の中に入ってしばらくすると、及川さんがコップにオレンジジュースを入れて持ってきてくれた。はい、と言いながら渡されたオレンジ色は少し子供っぽく見えて、俺はそれを一気に飲み干す。
しばらく取り留めの無い話をしている内に、及川さんの顔が近付いてきてキスをされた。最初は軽く唇を合わせるだけだったけれど、だんだん舌を絡めた厭らしい口づけになる。色を含んだ及川さんの眼は少しこわい。

「ちょっと待ってて」

そう言って及川さんは俺に背を向け、布団を広げ始めた。いつも凜と背筋を伸ばしていて、前を見据えている及川さん。その及川さんが、俺と身体を繋げる為に背中を丸めて布団を広げている姿は少し情けなく見えて、なんとなく愛おしい。

「及川さん」

俺は及川さんの制服の裾をくんっ、と引っ張った。不思議そうな顔をした及川さんが振り返る。

「今日、したくないです」

「へっ?」

不意を突かれたような間抜けな声。どうしたの、と少し焦ったように尋ねられた。

「いや、なんていうか……そういう気分じゃないっていうか」

そう答えると、及川さんは眉を下げて苦笑いをする。

「俺はそういう気分だったんだけどなぁ」

そう言いながらも開きかけた布団を畳んでいる。大事にされてるなぁ、っていうのを感じて少し顔が火照った。元の形に戻った布団をパンパン、と叩く及川さんの背中に指を這わせる。触れた瞬間、及川さんはピクリと身体を跳ねさせた。こちらを振り向いて、困ったような顔をする。

「トビオちゃん、俺我慢してんだから煽らないでよ」

そう言って軽くキスをされた。俺はその言葉に余計身体が熱くなるのを感じて、及川さんから目を逸らす。

「俺、及川さんの背中好きです」

広くて大きくて、たまに情けなくて、それで、俺のことを好きだって主張する背中。

「背中だけじゃないデショ?」

少し意地の悪い口調でそう言われる。俺はそれに頷いてから、唇を開いた。

「及川さんの全部、好き」





畳敷きのせなか

(もっと色んな背中を見せて)






七ジルシ。の七愛ちゃんから20000打のフリー小説をかっさらってきました…もう、トビオちゃんは本当に罪な男の子だよ…アァアアァ…可愛くってえろやか…!!!背中に指這わすとかそれだけで扇情的!やだやだ無意識って怖いねー!だがそこがいい!(なんなんだよ
及川さんも飛雄がしたくないっていったらしないんだね…本物の愛が……ここにッ……!!この男前め…!

七愛ちゃんの書く飛雄受けが毎度毎度私のツボを押すどころか抉ってくれるので本当に萌え死にそうです(笑)
20000打本当におめでとう!
これからも応援してます!