寝起きに伸びをすると肘がギシリと鳴いて、今日の天気が雨であると知る。中学2年の夏に壊した右肘は、雨の日になると時々酷く痛んで古傷を主張した。ギシリ、ギシリと、今日は普段よりも強い主張で、思わず目をつむり息を止めてしまう。そうすると今度は心臓が激しく生を訴えている音まで聞こえてきて、何故だか無性に泣きたくなった。白球を放つことが出来なくなったことにもう今更未練はない。今は球速よりもずっと魅力的な自転車に心を奪われていて、それを教えてくれた人物に力の限り尽くすと決めているのだ。何を悔やむことがあるというのだろうか。

それなのに、ギシリと鳴る肘を抱え生の訴えをじっと受け入れていると、脳の奥で、キン、とボールを打つ音が聞こえるのだった。


40.うるさい
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -