滝ノ上＋嶋田




(HQ)


「高校の頃と言やあさあ、漫画みてーな名言を試合中に生み出そうとしたことあったよなあ」

「あー、あったね。名言作りゃモテるってたっつぁんが信じて疑わなかったやつ」

「若気の至りだな。でも前に烏野と練習試合した時のあれ、なんだっけか。超青い感じの」

「あれだろ、『トスを呼んでくれエース』」

「あと『俺がいればお前は最強だ』か」

「最近の高校生すげえわ」

「甘酸っぱい…やべえ、若え…」

「何をそんなショック受けてんだ」

「なんか改めてアラサーを噛みしめたらほろ苦い味が口に広がった」

「それ胃液じゃね？」

「ばかな」

「いやでもまじであの青さはすごかったな。青春してると名言出んのか。イコールなんだな」

「それに引き換え俺ときたら」

「え、たっつぁん何か言ってたっけ？」

「スパイク決めたあとで『俺は滝ノ上祐輔、諦めの悪い男』っつった」

「ああ、超パクりな上にまず競技が違うっつーね」

「しかもすげえ勝ってた時に言ったから俺は一体何を諦めそうになっていたのかという」

「あれはミッチーだからかっこいいんだって」

「あとな、先週繋心のとこいった時チビスケが肉まん買ってたからちょっと話したんだけどさ。会話の流れで今の名言を言ったら全然通じねえんだ、これが」

「まじでか」

「『滝ノ上さんの台詞かっけえー！』って言われたから年の差を感じつつちょっといい気になった」

「ジェネレーションギャップってやつだな。ていうかたっつぁんの台詞じゃないからちゃんと否定しろそこは」

「否定しようとした頃にはチビスケはもうどこにも居なかった」

「どんだけ愉悦に浸ってたの」

「5秒ぐらい」

「チビスケすげえ」



ミッチーの名台詞言わせたかっただけという
 

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