緑川×堺




(GK)


「なあ、堺は動物好き?」

ドリさんはコーヒーミルで豆を挽きながら突然俺に問いかけた。ドリさんの家に来ると、必ずいつも楽しそうにコーヒーを淹れては呑ませてくれる。豆を炒るところから始めて、香りを楽しみながら手際良く手順をこなす(もちろんその分使う器具も多い。サイフォンを初めて見た時の俺の顔をドリさんは「面白い顔してるな」と笑った)。この人の深く炒ったコーヒーは強い苦味の中に味わい深いコクがあった。
今日もその作業を向かい合って眺めながら、動物ですか、と会話を繋ぐ。

「結構好きっす。実家で犬飼ってるし」
「あ、そうなのか。じゃあ犬派?」
「や、犬でも猫でも鳥でも亀でも好きです」
「堺は良い子だもんなー。確かに無派閥っぽそうだ」
「…いえ」

良い子。その言葉ひとつに、ぐ、と眉根を寄せた俺を見てドリさんは笑う。楽しそうに。からかうように。世間一般では目つきが悪いと称される俺のそんな表情を見て「可愛いよな、その顔」と俺の頭を優しく撫でる。ドリさんの前では迂闊に不機嫌にもなれなかった。
可愛いなんて、柄じゃない。

「…俺、たまにドリさんの趣味疑います」
「んー?」
「椿みたいな奴もいるし男に可愛いっていうのが変だとは思わねえけど、俺に言うのはちょっと」
「俺は堺が死ぬほど可愛いんだよ」

言いながら後頭部にドリさんのでかい手が添えられて、額にくちびるがひとつ落ちる。ああ、恥ずかしい。これだけで顔が赤くなるなんて!

「っそれより!なんでいきなり動物の話、したんですか」

どうにか恥ずかしさを誤魔化したくて出した声はまるで羞恥心を隠せていない。だけどドリさんはそれだけでも察してくれて、添えた手を頭から顎へ、キスを落とす場所を額から口へと移してから離れた。ああくそ、なんでいちいち格好いいんだこの人は!


友人のドリサクコールに応じて書いたやつ




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