達海×椿
(GK)
俺が酷使した足をぶっ壊したのが今から10年前で、椿がフットボールに好奇心を注ぎ始めたのも話によると丁度その頃だという。
10年前。25歳の俺が現役を退いて10歳の椿がフットボールに出会った。柄にもなく考えてしまう、俺から椿へ場所を超えて感性が受け継がれたのではないかと。フィールドを駈ける喜び、ボールを繋ぐ感動、地鳴りのような2色のサポーター。俺がかつて感じた興奮を、今は椿が7の数字と共に背負っている。
自慢の駿足で敵を翻弄する姿は見ていて気持ちが良い。雄々しくてまるで野に放たれた獣のよう、それなのにフリーキックやPKを取ったその表情は完全に少年のそれだった。
(やったあ!フリーキック、とりました!)
見ていて清々しい、とても景色が鮮やかだ。椿は撫でられたり叩かれたりして嬉しそうに笑っている。スカルズの椿コールも賑やかだ。
それなのに、俺のこのどうしようもない切なさは一体何だというのだろうか。
7番の系譜
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