及川×岩泉




(HQ)


もし、どんなに俺が岩ちゃんを罵倒したって岩ちゃんは決して動じない。怒るかもしれないけど、怒鳴るかもしれないけど、俺が死ねと言ったぐらいじゃ岩ちゃんには1ミリだって傷をつけられないのだ。岩ちゃんがただの言葉なんかに負けることは絶対なかった。
その代わり、俺が俺自身に罵倒を浴びせかけると岩ちゃんは深く傷付いた。およそひっかき傷とは呼べないほどの、月面のクレーターのごとく抉られるような傷を負った。
俺なんか死んだらいいと呟くと岩ちゃんはいつもみたいな軽口を奥深くにしまって、「やめろ」と言いながら俺の頭を抱えるようにぎゅっと抱き締める。そうして聞く岩ちゃんの心臓の音は、いつだってとても速い。
ほとんど心の籠もっていない俺の自虐の演技ひとつでさえ岩ちゃんは優しくなる。傷付いてくれる。顔を歪めてくれる。だから俺は事あるごとに心の中で自殺未遂を図るのだ。
俺にとって「死にたい」という台詞は、まるで魔法の言葉のようだった。


共依存




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