K×9




(FF-0)


ナインは月夜の下で静かに眠っている。大木に寄りかかって座るキングの傍ら、ぐっすりと。血を流しすぎて血色の悪いナインの寝顔は月明かりの所為で余計に青白く見える。安らかなそれは戦場ということも相まってもう起きないのでは無いかと思わせ、キングの不安を少なからず煽った。

2人で出撃した任務から帰投する際にモンスターの集団に襲われた。真後ろからまともに攻撃を食らい、完全に不意打ちで受け身すら取れなかったナインは思い切り急所をやられて大量の血を流した。魔力を捻出して何とか倒したものの、キングも疲労でケアルを使える状態ではないしこんなときに限ってエリクサーやポーションは切らしている。
ずきずきと痛むこめかみを押さえ、キングはきつく目を瞑る。微かにナインの寝息が聞こえた。喧嘩腰で姦しい口は閉ざされ開く様子はなく、彼が寝言一つ言わずぴくりとも動かずただただ静かに眠る様は、彼は本当にナインなのかと意味もない猜疑心を生み出すほどだった。

「…こんな場所で、お前を忘れるわけには行かないんだが」

もしこのままナインが力尽き絶命するとしても、アレシアの元へ帰れば再び生を与えられる。頭ではそうは分かっていても、誰なのか覚えていない死体を魔導院まで担いでいくのは気持ちの良いものでは無い。



メモにあったので貧乏性丸出しで載せとく




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