日向×伊月
(965)
黒い髪。
白い肌。
大きい目。
よく笑う、顔。
「日向、帰ろう」
恋人の関係を持ってからから1年、帰宅を促す台詞を言うときには互いの手を添える。最初は恥ずかしがっていたそれも、今ではすっかりクセになった。
俺の返事を待つ間、伊月は楽しそうにふわふわ笑って、時々瞬きをしては長い睫を揺らす。
それがどうにも美しくて、愛おしくて。
「日向?」
「…おう、行くか」
どうかしたか?、そういって添えた手をゆっくり握りながら覗き込む伊月の前髪がさらりと流れた。
あ。顔、近ぇな。
「伊月」
「ん?、ッん!?」
「ん、帰るぞ」
「……お前なぁ…」
今日も鬼畜メニューの部活をしっかりこなした、小さなご褒美。俺にも、お前にも。
「……ばか順平」
少し頬を染めて呟く伊月は俺の後ろで、ふふと幸せそうに笑った。
(こんな些細なやりとりなのに)
(どうしてこんなに毎日が綺麗なのか)
((…きっとお前のお陰だな))
過去log(一部加筆修正)
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