エレン+リヴァイ





(進撃)


与えられた肉をがふがふと美味そうに食うエレンを見てリヴァイは小さく溜め息を吐いた。
一体彼のどこを見たら先刻まで巨人化していたなどと判るだろうか。
頭の天辺から足の指先まで、間違いなく人間の姿をしているし、飯を食らう嬉しそうな表情は何よりも人間のそれだ。自分よりもよっぽど人間らしい顔をすると、リヴァイは皮肉に眉根を寄せた。

もしもの事が起こったら彼の項を切り取るのが自分の仕事だ。絆されてはいけない。情を持ってはいけない。感情移入なんてしてしまったら、最後に後悔が残るだけだ。その虚しさは、何度経験しても計り知れない。

「………」

くそ、エレンを思考から追い出して小さく呟いた。考えるのは己の仕事ではない。


「あの…兵長?」

リヴァイの呟きが聞こえたのか、食事を中断してエレンはリヴァイに話しかけた。せっかく思考から追い出したのに、リヴァイは軽くエレンを睨んだ。

「…あ?」

「その、険しい顔をされていたので…」

「いつもこんなんだろうが」

「いや、そうじゃなくて」

「うるせぇ黙って食え」

不満そうなエレンを一瞥して視線を降ろす。兵長も肉を食いますかという台詞もいらんの一言で片付けて、リヴァイは固く目を閉じた。




過去log(一部加筆修正)





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