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!暴力表現
「君のような書き手からしてみると、僕の状態はこんな感じかな。『彼は訳の分からない苛立ちに苛まれていた。』」
にこりと笑いつつ、城垣譲は言う。
「もっとも、読み手である僕自身のことをこんな風に書いたら余計に苛々するだけなのだけれど」
俺は怪訝な顔で対峙する。
心中を悟られてはいけない、読まれてはいけない。
「…御託はいい」
「……」
城垣譲は笑顔のまま黙っている。
「あんたは…何か知っているんだろ?」
「……」
「あんたは、何か持っているんだろ」
「………」
「…おい!何か言ったらどう――ガッ!?」
沈黙。
城垣譲の右手が、俺の口をがしりと掴んでいた。
長い前髪の隙間から見える黒い瞳をギラつかせて城垣譲は話し出す。
俺は恐怖で動けない。
「『御託はいい』んじゃないの?」
「ガッ……ぐ、」
「僕の言うことなんて基本世迷い言でしかないことぐらい、君は知っていると思ったんだけどな」
「アッ……ガ……ッ!!」
右手に加わる力が徐々に強くなっていく。
城垣譲は止まらない。
俺は焦燥で動けない。
「僕は善しを善しとし悪すら善しとするゲームの敵役じゃないからね。善しは善しでも悪は悪だ。覆ることはない。そしてまるで子犬のようにがっついてくる君に答えることを、僕は僕の中で善しとしない。だから」
教えることはできない。
何も持っていなくとも。
城垣譲は語る。
「ああ、それにね」
ごきり。
「……!アッ…あ、ガア…ッ!!」
俺の顎が音を立てて歪む。
俺は驚愕で動けない。
城垣譲は再び口を笑わせ話し出す、目の鋭さは変わらない。
「最初にも言ったけれど…僕は今訳の分からない苛立ちに苛まれている」
ごきり。
「ア、ア、ギ、ガ…ッ」
ごきり。
「……ッ!!」
「だからさ」
城垣譲は綺麗に笑う。
俺は破壊で動けない。
「そんな格好良い理由じゃなくて、ただ僕の気分の問題なんだよね」
君が八つ当たりの対象になるのも。
「そ」
んな。
議論する余地がない、何にしても俺は術を持つ顎を粉砕されている。
城垣譲は邪悪に笑う。
ただ、ただ。
とてつもなく、楽しそうに―――
掘り出し物厨二病シリーズ名前の読み方は確か「しろがきゆずる」です、多分。設定が謎すぎる
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