「それでは、有難う御座いました」

鼻の奥中までティッシュを詰め、止血を
する。簡単な処置を終えると直ぐ様この
保健室から出ようとした。だが、無視を
すれば良かったものの、佐伯先生の問い
掛けの罠に、思わず足を留めてしまう。

「待てよ。このまま、普通に戻るつもり
なのか? 弟がエッチな本を読んで鼻血
なんて事が知れ渡ったら、お前の兄貴の
耳にまでも――まぁ、俺がついポロっと
他の誰か奴にチクったらの話だけど?」

僕には綾斗という兄がいた。生徒会長を
努める立派な人物だ。対して弟の自分は
破廉恥な噂を流されて笑い者に。関係の
無い兄にまで、迷惑が掛かってしまう。
確実に困るだけでは済まされない。大の
大人に、脅迫紛いな汚いやり方で口止め
させられたとしても、この事実を誰かに
広められるより、まだマシだと思えた。

「……つまり、要件があるとでも?」
「ふーん、ちゃんと分かってるじゃん。
早速、俺の要件を呑んで貰うか――」

そう言い、先生はまだ綺麗に整えられた
ベッドへ生徒である僕を、加減しながら
軽く突飛ばした。意図も簡単に、寝ざる
終えない体位になった。すかさず先生は
横たわる僕の上に乗り込み覆い被さる。
慣れた手つきでベルトに手を掛け、僕の
ズボンを引き下ろし、下着の中に先生は
手を入れると、性器を握って来たのだ。

「ゃだ……先生、止めて下さい!」
「要件は吉良真斗、お前の身体だ」

ニヒルな笑みが大人の余裕を醸し出す。
もう片方の手で僕の両腕を掴み、頭上へ
持ち上げた。すると、先生の大きな掌に
よって自由を封じられる。細い割には程
好く筋肉が付いた体格の先生は、立派な
成人男性。力も強い。そんな相手に僕が
敵う訳も無く、弱々しい抵抗は全て無駄
に終わる。脳内では必死に拒み続けた。
それに比べ、身体は素直で従順だ。散々
焦し、指先でなぞられるだけでも過敏に
感じて反応した。思わず、声が漏れる。

「ひゃっ……!」

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