※現パロ、男体化






「んッ」
ちう、と目の前にある唇に吸い付いた。優しく肩を抱き込むと小さく身体が跳ねたのがわかる。薄く目を開いて魔理沙の様子を盗み見ればぎゅっと固く目蓋を震わせている姿が確認できた。こいつはキスするとき、いつもこんなに緊張しているのか。心臓とかやばそうだ、などと考えながら軽く啄むような口づけを続ける。柔らかいのを想像していたが、冬の乾燥した空気にこいつの唇は耐えられなかったらしい。少しかさついているのが感触から分かった。何故か悪戯心がむくむくと湧いてきてしまった俺はぺろっとその唇を舐めてみた。皮も剥けているらしいざらざらとした表面を味わう。じんわり鉄の味がしてきたので恐らく血が滲みだしているのだろう、舐めすぎたせいかもしれないがやめられない。いつもだったらもう舌を入れているが今日はそれをせず、俺は魔理沙の唇を吸ったり舐めたりするのに集中した。

しばらくすると背中を叩かれた。地味に痛い。無視してキスを続けていたがとうとう舌を思いっきり噛まれてしまったので潔く口を離した。むかついたから離れる直前、唇全体をべろりと舐めあげたら真っ赤だった顔をさらに染めて目を見開いていた。ざまあみろ。
「魔理沙、お前何味が好きだ?」
「は……へッ?」
ウェーブした金色の髪を指先でくるくると弄りながら訊くと魔理沙は惚けたような顔をした。まあ脈絡もなく尋ねたから当然と言えばそうなのだが。戸惑いの色を濃くする瞳をじっと見つめると先程より落ち着いていた魔理沙の頬の赤みがじわじわ戻ってきた。俺の視線に耐えられなくなってきたのか軽く俯きながら魔理沙は口を開いた。
「ん…もも味とか、好き…かも」
「かもって」
意外と乙女趣味なのかコイツは、と思ったが敢えて言うことはしない。言えばきっとコイツは怒るだろうし、その好みを密かに可愛いと思ってしまった俺を知られたくなかったからだ。
明日学校帰りに薬局に寄ろう。そしてもものリップクリームを買って、魔理沙にプレゼントするのだ。買った理由がキスしたとき唇がかさついていたから、と言ったらコイツはどんな反応をするのだろう。きっと両手を振り回しながらがなるんだろうな。今みたいに真っ赤になりながら。そしてその後味わえるだろう柔らかい衝撃に口角を上げる俺が妙だったのか、魔理沙はまばたきを繰り返した。





桃色boy


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