17話

財前SIDE

「財前君」

麻奈先輩のところへ行こうとした昼休み。
突如、声をかけられた。

俺に声をかけたのは、テニス部マネの柏原。



「…なんや…」

「…ちょっと来てくれないかな?」

「今から先輩とこ行くんやけど」

「その、先輩の事なの」


先輩の事…?


「今ここじゃ言えへんのか?」
「人が多いところじゃ…、」


柏原はそう言って周りを見渡す。


「とりあえず来て」


柏原は俺の腕を掴み引っ張っていった。


「どこ行くん?」


聞いても何も答えない。
結局ついたのは空き教室だった。


「……で?何な…―――」









一瞬何が起こったのか分からんかった。

















頬に添えられた手。

目の前には何故か柏原の顔。











キスされてるんだと気付くには少し時間がかかった。







すぐに柏原から離れる。

「……何すんねんっ…、」


そう問い掛けると柏原はやっと口を開いた。


「だって、財前君のことが好きなんだもん」


柏原は顔に笑みをはりつけながらそう言った。


「何言うとんねん。お前は白石部長の彼女やろ…?」
「うん。……あ、」



柏原は俺の後ろを見てニヤリと笑う。
すぐさま後ろを振り向くとドア越しにこちらを見ていた麻奈先輩。




「……先輩………?」


……見られた?
先輩の顔からして明らかに見られたのだろう。
俺と目が合うと、麻奈先輩はすぐさま走り去った。

すぐさま俺はそれを追いかけようと体を反転させて瞬間、



「いいの?今追いかけて。」



その言葉に足を止める。





「……どう言うことや…?」

「弁解きかなくない?…彼氏がキスしてたんだよ?」

「…それは自分も言えることやろ…」








「ははっ、別にあたし白石先輩が好きなわけじゃないし」


突然の答えに戸惑いしかない。
俺はもう一度先輩を追おうとすると柏原に後ろから抱き着かれた。




「…こんなに好きなのにっ……財前君…こっち向いてくれないんだもん…」

「……分からん」

「財前君の目があの先輩の方向いてるの知ってたから…、だからあんな先輩傷付いちゃえばいいって思って……、
でもまさか財前君と付き合うなんて思ってなかったから……」

「…俺、お前が女じゃなかったら殴っとった」

「それでも好きなのっ…!!」













「お願いっ、行かないでっ…」


躊躇してしまう自分がいるのが恨めしい。


きっと麻奈先輩になんて言ったらいいのかわからへんのや。
ここで俺が逃げれば俺は傷つかへん。




「…多分、先輩屋上行くでしょ?………―――そこにきっと………白石先輩いるから……」





その言葉で俺はもう一度柏原を振り返った。


「白石先輩、なんだかんだ言って私の事全然好きじゃなかった………。絶対…まだ……元の彼女が好きだよ」



地面に張り付いた足をどうにか持ち上げようと努力するも、意思とは反して体は動かない。

そしてなるがままに##NAME4##に抱きしめられた。


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