15話

白石SIDE



「あ、麻奈」


謙也の声がコートに響く。


「麻奈先輩……?」


謙也と打ち合いしていた財前がぽつりと漏らした。
確かにコートの回りにいる女子より奥に見慣れた姿。
あの風に靡く茶色い髪は、麻奈だ。


麻奈を見るのは久しぶりなような気がする。


それもそのはず。




少し前までずっと一緒におったんやから。







「麻奈先輩っ」


財前が麻奈の名前を呼ぶ。
すると麻奈はにっこりと笑って財前に手をふった。



そんな麻奈を見て、胸になにかが刺さる。
刺さったなにかががじわじわと溶けていく。

俺がふったんやん……。
この距離を作ったのは俺だ。





「麻奈先輩は俺の彼女なんで。…手出さんといてくださいよ」



財前はみんなに言うように、

俺に言うようにそう言った。



「…そ…そうなん?!光きゅんやるなぁ!!」

小春が場の雰囲気を盛り上げる様に声をあげる。
みんなも無理やり顔を作ってるようだった。


「どちらさんなんですか?」


依莉が問い掛ける。


「…マネやっとったたんや…」

「…辞めたんですか……?」

「せやで。あんまり関わんなや」


冷たい目で依莉に言い放つ財前。

財前の彼女になった、テニス部元マネで…
俺の元彼女の河原麻奈。





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