11話

白石SIDE



「で、その時クラスメートが………先輩?」

「…あぁ、すまんな。聞いとらへんかった」

「疲れてるんですか?休みます?」


俺は彼女に寄りかかった。



「……先輩……」

「………」



一つ年下で最近マネになった柏原依莉(カシワラ エリ)。

俺はこの子のために麻奈と別れた。




この子のために、
その表現は間違ったかもしれない。



今はただ目の前の彼女を抱きしめることしかできなくて。
俺はあの時目の前にいる彼女、麻奈を抱きしめることができていた?



ずっと好きやった。



『やった』それは過去の表現やろ?
そう何度も思い込もうとした。
だってその結末を迎えるように仕組んだのは自分だから。




スッと俺の背中に回された手。
その手は麻奈の手じゃない。
もう俺の背中には麻奈の手は回されない。


俺が裏切ったから。
弱い俺が裏切ったから。


やから、



「……依莉…………」





俺はこうやって逃げてしまう。

最低だとわかっていても、自分がいいように逃げてしまうのは人間である。
決して麻奈といるのが悪かったわけじゃない。

今こう考えてる自分も意味が分からない。


どうしてこうも……


考えたって過去は変えられない。





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