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優先すべき事



ガシャン――


「っ、…やっちゃった……。」
「全く、なにやってんの。ほら、掃除機出して。」


らしくない。
生まれて初めてお茶碗を割った。
掃除機を取り出し小さな破片を吸う。

別に白石君だって、神奈川くらい行くだろう。
何気にしてるんだろ。

ポッケからケータイを取り出し裏を見る。
そこに貼ってあるプリクラ。
なぜか、無性に見たくなった。

みんないい笑顔をしているのに…、
なんで、こんなに――


「わっ!」


突如鳴り出す着メロ。


「…財前君?」


だいたいいつも、メールで連絡してくる彼からの電話に少々驚く。

――ピッ


「もしもし?」
"あ、先輩?俺ですわ"
「うん、どうかした?」
"あの…、ちょ、とりあえず来てほしいんすわ…"
「……どした」
"いや、べつに……ちょ、――あ、なまえちゃん?あたし♪小春ちゃんよー♪"
「あ、小春ちゃん!どうしたの?」
"いやねぇ、蔵リン部長2年目やない?やからみんなで遅くなったけど2年目祝いしたいねん。こういうんはサプライズが1番やろから計画たてよ思って。なまえちゃんにも来てほしいねん"
「あ、そうゆうこと!ん、行くよ。どこに行けばいい?」


―――ピッ


あたしは四天のマネだ。
だから今はこんな感情よりも、優先すべきことがあるでしょ。


「ちょっと出掛けて来るね。」
「いってらっしゃーい。あ、ついでにお茶碗も買ってきなさいよ。」
「ん。」


コンコンとつま先をならし家を出る。

彼も同じ空を眺めていたなんて知るよしもない。

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「学校の近くのファミレス?了解。」




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