7話
「お前、今日も麻原を泣かせたのか。」
「なんのこと……」
「とぼけてんじゃねぇよ!!苺加泣いてたぜ?頬を叩かれたって。すっげぇ頬真っ赤にして」
「…そんなことしてないっ……っ……」
反論するたびに増える傷、痣。
とてつもなく痛い。
「何してるんだい?」
「幸村君!こいつまた、苺加を叩いたんだぜ」
違う……
叩いてない……
「なまえが叩いた証拠でもあるのかい?もし、仮に叩いていたとして、反撃していいのは麻原だけだ。お前達じゃない」
「しかし、幸村っ……」
「いいから、今は退きなよ。」
暴力は止まった。
「精市………っ………」
体が痛い。
ふざけるな、
ふざけるな、
ふざけるな、
「……ハァ…ハァ…」
「なまえっ」
「うっ…」
自分の中で葛藤が続く。
私と何かがぶつかる。
「なまえっ、落ち着けっ!俺がいるから!」
「……精市………、」
我に返る……、
だめだ………
「……ごめんっ………」
フラリと立ち上がった。
最近テニス部はチームワークも悪いし、練習時間は私への暴力の時間になってきていて、みんなの実力は下がっていくばかり。
「お前テニス部の悪口言ってんじゃねーよっ!」
赤目の赤也君が殴り掛かってくる。
テニス部の悪口?
そんなの言うわけないじゃない。
テニス部が好きなんだから。
そんな姿を見て陰で笑う苺加ちゃん。
一人になったところで近寄ってきて、何かしら言う。
「なんで全員に嫌われないんですか?それとももっと嫌われたいんですか?」
苺加ちゃんは口角を上げて笑う。
「……っ……」
「早くみんなに嫌わたらいいのに。先輩の可愛い顔、そのうち潰れちゃいますよ?」
どうして、こうなった?
苺加ちゃんの笑顔を思い出したいけどあの醜い顔がこびりついて離れない。
「……助け……て……よ……」
頬をつたう、
1粒の涙。
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