もしも雨が止んだなら… | ナノ
そして、雨は上がり…

仁王SIDE


パコーン
パコーン

テニスボールとガットが当たる音がテニスコートに響き渡る。


「なまえ先輩ーっ!!」
「わっ!!!赤也君…びっくりさせないでよ」

「なまえ、なんか菓子もってねぇ?」
「部活中はだめ。ガムだけでも大分ゆずってるんだからね」

「なまえさん、ドリンクをいただけますか?」
「はい、どーぞ」

「そういえば、頼んだ本だが…」
「今日練習後に渡すね」

「タオル持つぜ。」
「ありがと!!」

「こないだの試合のデータ残っているか?」
「たしか部室にあったと思うよ」



あれから何ヶ月がたっただろうか?
麻原はもう俺達の前にいない。

あの後、麻原は、幸村の病室に無理を言って行き、なまえと幸村に頭を下げ泣きながら笑顔を見せた。

その笑顔は多分本心からだろう。
その笑顔を見てなまえも笑っとった。

「なまえっ」

みんなから離れたところで声をかける。

「あー、どうした?仁王君」
「タオルちょーだい」
「あれ?口調違う」
「そんなことないぜよ」



「なまえっ!!」
「彼氏の登場じゃ」
「そんなこといわないの」
「プリッ」


なまえとは逆方向に歩きだす。


「フフッ、なまえは人気者だから妬けちゃうな」
「こっちのセリフだよ」
「なまえーっ、幸村ーっ!!みんなで試合やろうぜっ!!」
「うんっ!!」

なまえはみんなのほうへ駆けていく。
幸村もそれを追うようにみんなのもとへ戻って行った。

















なまえを好きだったんはもう前の話じゃ。
幸せにやってる二人をみて祝福してあげたいと思うしの。


ちょ、
今顔見られたらペテン師の名が廃るなり。


「仁王君。試合始めますよ」
「……すぐ行くぜよ」



ふと顔を上げた先には、見たこともないようなとても綺麗な虹がかかっていた。


〜END〜

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