もしも雨が止んだなら… | ナノ
43話

幸村SIDE




ここはどこだ?

動こうとしても動けない。
動かそうとすると腹部に鋭い痛みが走る。


あ、
ナイフで刺されたんだっけ?



麻原が自殺しようとしてて、
それを止めて、
刺されて、
なまえと仁王が来て、


なまえが俺のこと本当に忘れてて、
でも最後は名前で呼んでくれて、


そこで意識が途切れた。



麻原はどうなったんだろ。
死んでないよね。

なまえも謝ってもないのに。










俺なにしてんだろ?


なまえの発作引き起こしたの俺じゃん。
なまえを悲しませたのも俺じゃん。



「……ごめん…」





結局はただの自己満足。
自己満足のくせして自分も悲しんで。







会いたい。
なまえに会いたい。
ちゃんと伝えたい。







「精市っ、」






俺を呼ぶ声がした。
何度も、何度も効いたことがある声。
この声を悲しませたくなくて、喜ばせたくて。
何度も、何度も想った声。


自然口元が緩む。



同時に俺の周りは白く包まれた。








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