3話
図書室独特の匂いがする。
「じゃあ今日はここまで。解散」
長かった委員会も終わり椅子から立ち上がった。
委員会に入ってないメンバーはもう部活を始めている。
急がなくては、と思い不注意になった。
「わっ!」
「きゃっ!」
「あっ!ごめんなさいっ!怪我…ありませんか?」
前方不注意で後輩の子にぶつかってしまった。
後輩の子はすぐさま体勢を立て直し私の心配をしてくれる。
「大丈夫だよ。こちらこそごめんね?回り全然見てなかったから。」
ぶつかってしまった子の顔をよくみるととても整った顔をしている。
耳の下で茶髪に近い髪の毛をゆるく縛り、目は大きい二重。
こんなかわいい子だったら絶対学年でもてるんだろう。
「先輩、テニス部のマネージャーさんですよね?」
知ってたんだと驚きつつ、テニス部見に来たことあればわかるか、と同時に納得する。
「あたし、先輩に憧れてるんです!…いっつも一生懸命仕事してて…落ち着いてて…。先輩、かわいいし!」
「あ…ありがとう」
「あ、先輩すみません!急いでますよね?」
「そうだった。またね」
あたしは今度こそ、図書室を出た。
「あたし、先輩に憧れてるんです!…いつも一生懸命仕事してて…落ち着いてて…。先輩かわいいし!」回りにはそう見えてるかな?
ちゃんと……
ドクン
胸をおさえる。
大丈夫だ、
いつものことじゃない。
………
落ち着け、
落ち着け、
「……はー……」
大丈夫…。
あたしは前を向いて歩きだした。
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