もしも雨が止んだなら… | ナノ
37話


ゆっくり目を開くと目の前に『私』がいた。
自分と向かい合ってるという状況なのに私は妙に落ち着いていて。
沈黙が続くなか先に口を開いたのは『私』じゃない『私』だった。


『……私はあんたがテニスやってていじめられたころからあんたの中いた』
『…うん』
『………いろいろ心配だよ』
『心配…?』



『あんた、弱いじゃん?…一応私だから…』
『…私は…』


たしかにもう弱音を吐かないとは言い切れない。
けど、







『もう一人で大丈夫。……もう一人で生きていけるよ』







それを決めなきゃ、
やり直せない気がした。


私が強くならなきゃ、
乗り切れないと思った。




『…そっか』




そう言うと目の前にいた『私』はどんどん透けていき最後には消えていった。
『私』はもう一度目を閉じる。


そしてもう一度目を開けると目の前には今度は苺加ちゃん。



「…ごめんね」
「先輩……」



私は息を吸い込んだ。


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