もしも雨が止んだなら… | ナノ
31話

切原SIDE

「なまえちゃん、無理せんときや」
「あ、全然大丈夫です」



そんななまえ先輩を見て気まずそうに顔をそらす立海レギュラー。


「今の言葉に間違いがあったかよ?ないだろ?お前らザコなんだからよ。…テニスもろくに出来ないくせに一人の女守ったつもりになってんじゃねーよ!!!」


なまえ先輩の言葉が響いたのか。
何も感じなかったか。
響いていてほしいと願いたい。

なまえ先輩は昨日とまた違う顔をしている。
何かあいた穴を頑張って塞いでるような。
でも絶対本人はそれに気付いてない。

何かあったんだ…。
根拠があるわけではないが。

「……麻原………?」

今抜けても誰も気にしないだろうと思い、俺は麻原を捜すためにテニスコートを後にした。
ホテルの室内に戻るとこちらに向かって歩いてくる仁王先輩。

「仁王先輩」
「……おぉ…、何じゃ…」

反応が遅い。
いつもの仁王先輩じゃない。


「麻原知らないッスか?」
「…麻原?」

あからさまに嫌そうな顔をする。

「…知らないならいいんスけど……」
「麻原に何の用じゃ?」
「…え?」
「麻原に会って何するんじゃ」
「…なまえ先輩の事です」
「…なまえ?」
「なまえ先輩あれからおかしいじゃないでッスか!……麻原関係あるなかなって……」
「…麻原は関係なか」






「…仁王先輩何か知ってるんスか………?」
「………」



詐欺師でもペテン師でもない仁王先輩の姿。



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