もしも雨が止んだなら… | ナノ
29話

仁王SIDE

「……に…おう……くん?」

なまえが目を覚ました。

「…分かるか?」
「…うん……、なんか私すごい眠ってたみたい……」

なまえは目を擦りながら体を起こす。

「…………仁王君………」
「…どおした?」
「………ううん、何にもない」

ドアがノック音。
ドアを開くとそこには跡部がいた。

「目、覚めたか、あーん?」
「うん、ありがとう。跡部君」
「礼を言われることしてねぇよ
なまえ……氷帝はみんなお前の味方だ。絶対に誰も裏切らねぇ」

跡部は真剣な顔でなまえを見つめた。
青い瞳が真っ直ぐなまえを捕らえる。
氷帝は始めから味方でいてくれた。

「…ありがとう……」
「四天宝寺と青学もやで」

ドアのところにいつの間にか立っていた白石と手塚。

「うちの部員がすまなかった」

手塚は頭を下げる。

「そんなっ…顔上げて下さいっ。信じてもらえただけで嬉しいですから」
「みんなちゃんと話してくれたらわかってくれたわ。…あと柳君の証拠があったからっていうのもあるな」
「…証拠?」
「柳がボイスレコーダーを持ってきてくれた。まだ、それだけじゃ証拠にならないが部員達は信じるだろうとな…」

「……あとは麻原だな……」


跡部のその一言で一瞬沈黙に飲み込まれる。


「…幸村と付き合ってるんだろ?」
「跡部っ!!」

今その言葉はいかん。
そのせいで発作を起こしたんだから。
パッとなまえを振り返る。

しかし、なまえの顔は平然としていた。
















「…幸村ってだれですか?」















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