もしも雨が止んだなら… | ナノ
22話


食堂に響く皿が割れる音。

「そんなとこに突っ立ってたら邪魔ッスよ」
「フシュー…」

皿の破片が腕に刺さり小さな傷を作る。

「お前ら何やってるんだ。アーン?」
「桃城達は事実を述べたまでだよ。だってそこのマネージャー邪魔じゃない。誰かを虐めることしかできない」
「……っ………」

「なまえ。手当しに行こう」
「…ごめん………」



精市に連れられあたし達は救護室へ向かった。

さっきの言葉は想像以上に傷つく言葉だった。
そうゆう印象を持たれてたこともショックだった。




「…痛いよね……」
「…大丈夫だよ」

無理して作る笑顔、私はちゃんと作れているだろうか?

「…ごめんね、迷惑かけてばっかり」

その言葉の返事は私の名前だった。

「…なまえ……、」

精市の真剣な顔が怖い。

「………何?」

そう問い返すのも怖かった。










「……………別れ……ようか…………」








精市だけは裏切らない。
そう思ってた。

けど、
こうなる事も心のどこかでわかってた。



私の中の何かが崩れ落ちる。
どこを見ていいのかわからない。
精市は相変わらず下を向いている。




私より苺加ちゃんのことを信じたのかな。
でも、苺加ちゃんを疑う証拠がないように、私を信じる証拠もないんだ。


「………うん…、………今までありがと…………」



私は精市を残して救護室を出た。
廊下は来たときよりも暗く、寒かった。
涙が1粒こぼれ落ちる。



どうして信じられる人間を私から引き裂くの?




「…もう……やだ……っ…」




そのまま壁に寄りかかり一人で泣いた。






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