もしも雨が止んだなら… | ナノ
21話

「……仁王君…っ………」

ボールはどうやら仁王君に全部当たってしまったようだ。

「……あっ、…ごめ…ん……」


回りで息を呑む音が聞こえる。


「…行くぜよ……」
「……えっ……」

仁王君は私の腕を掴み歩きはじめた。
そのまま建物の中へ入っていく。

「……どこいくの………?」


そう聞いても返ってくるのは沈黙だけ。
私は手を引かれるがままに付いて行くしかなかった。


仁王君が立ち止まったのは人気の少ない廊下。
みんなはテニスしてるから人気が少ないのも無理はない。

「…怪我……しとらんか……?」

沈黙を破った仁王君の声。

「……私は仁王君がかばってくれたから大丈夫だったけど……
あたしより仁王君だよ……。…怪我……して…」
「よかった…っ……」

そして、気付いたときには仁王君の腕の中にいた。

「…ちょっ?……仁王君?」

だが、それも一瞬。

「…みんなが敵な訳じゃないぜよ。」

そう言って仁王君は立ち去った。






みんなが敵な訳じゃない……
信じていいの?






信じたい。





もう一度だけ、





みんなを信じたい。






人を信じる事と当たり前に出来なくなった私は、おかしいのかな?






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