もしも雨が止んだなら… | ナノ
20話


「痛っ……」

何かが肩にあたった。
それがテニスボールだと気づいたのは肩に当たり地面に落ちたときだった。
当たったところがじわじわと痛くなっていく。


「あ、すまへんなぁ、あたってもうたわ」


たしかあの人は四天宝寺の…。
この人もか。
この人も私は信じられないんだ。

「謙也さん、何しとるんスか…。打つとこちゃいますやろ」
「あっとるよ。的はあいつやで!!」

赤髪の子が叫ぶ。
みんなの視線が私に刺さる。

「たしかにせやなぁ…」

彼らはボールを一つずつ手に取った。

「…嘘やろ?」
「お前らええかげんにせぇやっ!!」


白石君の呼びかけにも誰も応答しない。
足がすくんで動かない。
たくさんのボールが宙に上がった。

当たるのかな?
あれが全部当たったら相当痛いだろう。

当たる間際にこんなこと考えてるあたしは相当おかしくなってしまったんだと思う。
痛いくらいに目を瞑る。

バシッ

鈍い音が響いた。



痛くない………?
たしかに当たった音はしたのに……、
感覚まで鈍ったのかな?



少しずつ目を開くと、目の前に広がる辛子色のユニフォーム。




精市……?


ううん、
違う、
あの、なびく銀色の髪は…、




「……仁王君……………、」



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