もしも雨が止んだなら… | ナノ
19話

幸村SIDE

「幸村少しいいか…?」

練習が終わり手塚は俺に話しかけた。
表情からしてあまりいい話ではなさそうだ。

「なんだい?」
「立海のマネージャーについてなんだが…」

やっぱりそうか。
他校の奴は何も知らないのになまえに暴力をふるう。
立海の奴だけでも許せないのに、なんで他校まで…

「言っとくけどなまえは虐めてなんかないから。嵌められたんだ」
「…あぁ……、」

予想していなかった答えに俺は驚きを隠せず、目を見開く。
どうゆう意味だ…?

「…どうゆうことか……、説明してもらおうか?」

誰もいなくなったテニスコートに俺の声は響く。
誰もいない状態でなければここまで響かなかっただろう。

「明らかにおかしいと思ってな……。うちの部員がすまない。付き合っているのだろう?」
「……あぁ……。」
「何かあったのか…聞いてもいいか?」





「わからない……わからないんだ………。
俺はどうすればいいのか。
なまえが好きだ。なまえを離したくない。
けど、なまえが虐められてるのを見るのも辛い」


思わず本音をぶちまけた。
こんな本音を言ったのは初めてだ。
あ、そっか。
信頼できる人間が少なくなってしまったから。


「…今から話すことは幸村の役に立つなら立つでいい。忘れるなら忘れてくれ」


手塚は静かに言葉を紡ぎだした。



「俺には好きな女子がいた。その女子も俺の事を好きでいてくれたようで、俺達は付き合うことになった……。…それなりに幸せだった。一緒に帰ったり、話したり。………けれど、他の女子の反感をかい彼女は虐められるようになった。俺と付き合ってるのがいけなかったらしい。」
「あたし幸村先輩が好きなんです。」

「……日に日に増えていく彼女の痣を見る度に辛かった。」
未胡の腕の痣を初めてみた時、とても辛かった。

「俺は彼女を離したくなかった、………けれど、彼女がこれ以上自分のせいで傷付いてるのを見ていられなかった……。」

今彼女とは?
なんて、聞かなくても分かる。


「……俺が行動したことにより、彼女への虐めはなくなった。しかし、彼女は転校した。………もう、会えない……。」

辛そうに話す手塚は本当にその人の事が好きだったのだと実感する。

「…だからと言って幸村に別れろと言ってる訳ではないことをわかってくれ。」

「…あぁ………。」











なまえ、
俺は本当にお前が好きなんだ。


好きで好きでたまらない。






「…なまえっ……!」

テニスコートに行くとテニスボールを当てられてるなまえ。
レギュラーが打つボールなんてものすごく痛いだろうし、精神的にもきてるだろう。


「…もうすぐ……終わらせるから……」


一人で呟いた言葉は宙に消える。


幸村SIDE・END

NEXT→20粒の雨

prev next
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -