もしも雨が止んだなら… | ナノ
17話

幸村SIDE

「幸村先輩っ、」
振り返るとマネの麻原。
なまえから虐めを受けているなんて嘘はいてなまえを陥れた本人。

「…どうした?」
「…お話があります……。」

やけに真面目な顔で言ってくる。
返事をわかってて、質問を投げかける。

「ここじゃダメなのかい?今から昼食だよ?」
「…人がいるとこでは言えません。」

俺の後ろにいる仁王、赤也を見て言う。

「……仁王、赤也、先行っててくれないか。」
「…でもっ――――!」
「行くぜよ、赤也」
「……はい………」

赤也は麻原を睨みつけ去っていく。
二人が去って行き廊下には俺と麻原だけ。
静かな空気が流れる。


「……幸村先輩は…まだ、なまえ先輩と付き合ってるんですよね?」
「そうだよ。それが?」
「なまえ先輩は虐めをする酷い人ですよ?」
「なまえはそんなことしない。」


俺はなまえを信じてるから、そう言うと麻原は黙り込んだ。
少し下を向く麻原の表情は確認できない。

「……なんで…………なんでそこまで信じてるんですか……」
「君は何がしたいんだい?」
「……っ!あたしはただなまえ先輩に虐められてっ………!!」
「だから俺はそんなこと信じない。」


麻原は悲しげな表情をする。

君がそんな顔をしたってなまえの顔に笑顔は戻らない。
いいや、君がそんな顔をするならば、一生戻らないだろうね。

頭に血が上りそうだ。



「…もう、話は終わりかい?それなら俺は……――」
「あたし、幸村先輩が好きなんです…」
「……………は?」
「ずっと……ずっと……好きでした……。なのに先輩には彼女がいる。………別れて下さいよ」
「悪いけど、あんたが俺の事を好きだろうがなんだろうが、俺はなまえと別れるつもりはない」


「かわりになまえ先輩が虐められるとしても?」


麻原は急に顔に笑みを貼り付けた。
その笑みは俺らには一度も見せたことないであろう、笑み。
多分、
こんな顔をなまえにはいつも見せてるのかな。
俺の頭の中はいろんな言葉が廻り廻っていた。


今ここで麻原をふればなまえが虐めを受けることになる。

麻原の告白を受けたら………
なまえは虐められない?


「迷いますよね?……大切な大切な彼女さんですもん。」
「…俺はなまえを裏切らない。」
「……っ!なまえ先輩は今までよりも虐められますよ?!どの学校にも!どんな人にもっ!」
「なまえは俺が守る…………。」




そう言い残してその場を後にした。
なまえを守れるのは俺しかいない……


俺がなまえを支え、守る。



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