もしも雨が止んだなら… | ナノ
16話

昼食時になった。
昼食の準備をし、みんなを待つ。
待つ、と言っても一緒に食べるわけじゃない。
食べてるときに周りの視線が気になるのは私の弱さなのかもしれない。

ざわざわと賑やかな軍団が来た。
四天宝寺の人達だ。
しかし、私の姿を見ると賑やかだったのも一瞬で冷める。

信用されてないのは知ってる。
こういう反応されるとも分かってた。
けど、

「なぁ、あんた麻原のねぇちゃん叩いたりしてんねんて?」

実際に言われるのは辛いものだ。

「…どうゆう…ことかな……?」

こう返すのも何回目だろう。
だから、もうなんとなく読めてしまう。
この次にくる言葉なんて。

「言っとったで、麻原のねぇちゃん。あんたに叩かれたり虐められたりしてつらいって。最悪やな」

何も言い返すことのできない自分。
沈黙は肯定と同じだ、って殴られたこともあった。

「金ちゃんっ、」


聞きなれない声が響き渡る。
…たしかこの人は四天の白石さん。
こうして関わるのは初めてだ。

「今は黙っとき。」
「せやけどっ!」
「聞こえへんかったか………?」

白石さんはさっきの子を睨み付けるようにして言う。
するとその人はあたしを睨みつけてテーブルへ向かって行った。
その子に続き次々とテーブルに座っていく人達は、あたしを冷たい目で見ていく。

「…堪忍な」

白石さんはそう言った。

何に対してなのか。
まったくわからない。




四天のメンバーが席に着く中、一人まだ席に着かずこっちを見ている人がいた。

「…………」

しばらくこちらを見ていたが、あたしと目が合うとくるりと向きを変え食堂から出て行こうとする。

「財前どこいくん?」

財前と呼ばれた人は振り返らずに「ちょっと…」と言うとすぐに出て行った。
財前君とすれ違うように入ってきたのは青学。
青学もそうだ。
あたしを冷めた目で見て、暴言を吐く。




私はあなた達に何かした?


覚えのない罪ばかり増えていく。





『助けて』







誰にも届かないその言葉。



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