もしも雨が止んだなら… | ナノ
15話

「……なまえ?」

聞こえた声が目覚ましとなってあたしは目を覚ます。

「……精市……?」
「よかったッス!!」

回りを見渡すとにいるのは精市、赤也君、仁王君。

「跡部が用意してくれたんだ」
「あ……、そうなんだ…。お礼いわなきゃ……」

ベットから起き上がる。

「歩けるかい?」
「うん」
「ちょっとみんな出て行ってもらってもいいか」

精市が二人に呼び掛ける。
すると二人はわかったのだろうかすぐに部屋からでていった。



「今回も発作だよね?」
「………」
「倒れるまでになった」
「…ごめん……」
「俺は別にかまわないっ!なまえが倒れたらいつだって支えてあげるよ。俺が心配なのはなまえだっ、」

精市が珍しく声を上げた。


「…やっぱり精神的にきてるんだと思う。………合宿大丈夫?」

そんな精市だからこそ心配なんてかけたくない。

「大丈夫。心配かけないようにするね。………今は何する時間?」
「…そんなに時間は経ってないよ。みんな荷物整理してるんじゃないかな?
なまえの部屋はここだって。」
「そっか。……じゃああたし、昼食の手伝いでもしてくるよ。」
「頑張って。……」
「うん」
























































調理場に行く途中、苺加ちゃんが前から歩いてきた。
私に気づくと目を見開きかけよってくる。
そんな行為に私も目を見開くことしかできない。


「先輩、大丈夫ですか?何か病気なんですか…?」


違う……、
いつもの苺加ちゃんじゃない、
まるで、初めて会った時みたいだ。
本気で心配してくれてる目。



「……大丈夫だよ…」
「…よかった…」

よかった、
まさか苺加ちゃんの口からそんな言葉が出るなんて思わなかった。
もしかしてこれで終わるんじゃないか?
私は今までとおりにみんなと笑いあえるんじゃないかなって、そう思った。

沈黙。
先に口を開いたのは苺加ちゃんだった。


「…あのっ!先ぱ…―――」
「なまえっ!」

振り返るといたのは精市。

「これ、忘れていっただろう?」


渡されたのは苺加ちゃんがマネになる前にみんなでお揃いで買った、リストバンド。
みんなは鉛が入ってるリストバンドを手にしてるから普段はバックに入れている。
私の唯一のみんなとの繋がり。

「あ、ごめん」
「あれ?……麻原と話してたの?」
「…え?」




振り返った時にはもう苺加ちゃんは走りだしていた。


NEXT→16粒の雨

prev next
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -