愛情補給 | ナノ

父親が消えてから五日が経った。母親は今、心労で寝込んでいる。居なくなってすぐに警察に相談したが、軽く流された。警察の対応に腹が立ったが怒っても父親は帰ってこない。どうすればいいのか考え、ラミーの家まで来ていた。相変わらずデカいと呆れながら、ベルを鳴らし待つ。五日前ラミーの家へ肉を配達しに出て、父親は消えた。父親の失踪に関する情報があるとすれば、ここにある。何となく、直感だ。暫くすると、大きな門が開き中からラミーが出てきた。
「ラミーお嬢様」
「お嬢様なんて、そんな堅苦しい呼び方やめて」
「ラミー」
「そう!中へどうぞ」
「…失礼します」
ラミーに案内され部屋へ移動する。慣れないきらびやかさに緊張しながら廊下を歩いた。よくやくラミーの部屋にたどり着き、ほっと息を吐く。ラミーの部屋は想像通り、可愛らしい家具と人形に溢れたお嬢様の部屋だった。
「トリュフ君、今日はどうしたのかしら」
「親父知らないか」
「トリュフ君のお父様?」
「ああ。…帰ってきてないんだ、五日前から。旦那様なら何か知ってると思って、勿論ラミーでもいいから」
「お父様…」
「ラミー?」
「お父様、お父さま、おと、うさま、要らないって…私のこと要らないって!弟だけで充分…そうよ弟がいるからいけないの、弟さえいなければ!」
誰だ、こんなラミー俺は知らない。困惑しつつも近付くと、いきなり首を絞められた。息が上手くできず、離せと必死でラミーの腕を掴むが、首を絞める強さは増すばかりだった。
「ピクルスさん!」
首を絞める力が弱まった。その隙に大きく息を吸い込む。彼女は誰と会話しているのか、肩を抱き震えていた。
「ラミー?」
喉を押さえながらうずくまるラミーに近付く。
「ごめんなさいごめんなさい私は要らない私が要らないのに私だけ…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「ラミー…」
俺は知らなかった。涙を流しごめんなさいと要らないを繰り返すラミーをそっと抱き締めた。
2011/02/01
愛情補給
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