理解者 | ナノ

このせかいはとてもうつくしい。りょうて、りょうあし、からだすべてをつかってもあらわせない。そのことをすこしでもつたえたくてぼくは、てをうごかしあしをうごかし、せかいをあらわした。たまにおかねをわたしてくれるひとがいる。けれど、そのひとにせかいのうつくしさがつたわったかどうかはわからない。
「君は」
こえをかけられえがおをむける。こえをかけたのはこのまちのじゅうにんのもーるさんだった。もうもくのしんし。まちのしんぶんしゃではたらいている。も・ー・る・さ・んとかれのてのひらにひともじずつ、もじをかいた。ぼくはこえをだせない、かれはめがみえない。かいわはひつだんでするしかない。
「マイム君」
「はい」
たわいもないはなしをする。きのうはあつかったとかかわいらしいはなをみつけたとか。もーるさんはどこかとおくをみてちいさくつぶやいた。
「綺麗だ」
「そうですね」
うでをひろげとびはねうれしさをあらわす。もーるさんはなにもみえない。けれど、つたわる。かれは、みてくれる。このせかいはとてもうつくしい。
2010/09/09
理解者

×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -