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 にゃんて日だっ!!

 思えば、今週のオレは悉くツイてなかった。
折角した課題を間違えて廃品回収に出したり、財布を失くしたり、教頭が大事にしている花瓶を倒したり、罰としてさせられた特別教室の掃除で蛇に遭遇したり…etc
だからって極めつけにこれはないんじゃないの、神様!!



○ ● ○ ● ○ ●



 忌まわしい体験から数日。
これ程までに、未来から来たネコ型ロボットを欲しいと思ったことはなかった。
旅に出ようとしたら管理人に止められた。
あの恥ずかしい出来事を脳から追い出すべく、古典的方法即ち壁に頭を打ちつけてみた。実践してみても額が腫れるだけだった。
委員長の脳からあの日の記憶を消そうとした。ネットの検索履歴は“忘れる”“記憶喪失”“方法”“確実な手段”で埋まったが、特定の記憶を失くす方法は見つからなかった。
思いきって黒魔術にでも手を出そうかと思った。しかし、術の実行やら魔方陣を書く時間やら全てが夜で、とてもネコの手ではできないと断念した。
数日経ってやっと、あのネコ=オレと知っているのは自分以外に居ないと思い至り、なんとか努めて冷静にいつも通りの学園生活を送ることができた。
志野は泣いて喜んだ。守也は少し隈の残る目を向けて「安心した」と呟いていた。
そう、オレは楽天的、ポジティブな性格の男。
ちょっとやそっとの想定外の出来事で折れたりなんかしない。

「あれ?さっきまでここに小野寺いなかった?」
「なんか急激な腹下しで保健室に行くとか言ってたよ。委員長用事あった?」
「ちょっとね」

そう、ポジティブ!!

「小野寺、数学のノート提出まだd」
「いっけね、よっちゃんに出してくるわ。さんきゅ委員長(廊下へフェードアウト)」

全然折れたりなんか…

「事務局の人が小野寺の財布拾ったんだって。良かったね」
「まじ?!!戻ってくるとは思わなかったー」
「…なんでそんな離れてるの?」
「えーと、オレ今静電気溜メテルミタイダカラ?」

折れたり、

「あ、ごめん」
「(スリ)…」
「小野、寺?」
「っ!!や、これは、ごめん、…、その、ぶつかった時にバランス崩した、みたい、で」
「そうなの?大丈夫?」

……



《もうやだ》

誰に聞かれるでもない弱気な発言は、ただ闇に溶けていく。
全然問題なくなんかないし、ポジティブに考えられる領域越えてるよコレ。
オレの平穏な学園生活が確実に脅かされているもの。
無意識に委員長にすり寄ったり甘えそうになるもの。
このままだとオレ変な人若しくは変態に見られちゃうじゃんか!!
避けまくるにしても、同じクラスだと限界あるし、それに…

《前より委員長に話しかけられてる気が…するんだけど…》

気のせい、だよな?
オレのこの態度不審がられてたりしないよな?!
ねぇ、誰か大丈夫だと言って!!



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