Short | ナノ

 3

今起こった事をありのままに話すぜ。

無駄に金を使って整備されてる体育館倉庫は、最近時間になったら自動でロックできる鍵に取り換えたらしい。
なんでも過去ここで何度も暴行や強姦未遂やらと良くない行為を繰り広げられてきたことへの対処としてされたとかなんとか…。
設定された時間を過ぎると翌日まで開かないその倉庫は、体育委員と教師が交代で最後に点検をしてロックするのだが、どうしたのか今回はその人物達は現れず。
時間を過ぎて施錠されないように委員長がストッパーをしていたところ、注意しにきたらしい生徒が間違えてはずしてしまい…
つまり閉じ込められたわけだよ2人と、…1匹はね!!
これまた運の悪いことにケータイを携帯してなかった委員長と電源が切れたもう一人の生徒の携帯では外部に連絡が取れず、朝まで開かない部屋の中待機してるしかない状況ってわけだ。
以上を、委員長の膝の上から不運なオレからの現状報告とするぜ。ごろにゃん

「ほんと人懐っこいなお前」

え?今のオレの状況に至るまでがすっとばされてるって?
うっせ、誰がこんなまぬけな状況に陥るまでの事を丁寧に話すかよ。
あ…そこそこ。おい、委員長もっと撫でろ。

「だけど見間違いだったのかな…この体育館に小野寺が入ってくように見えたけど。お前見てないか」

本人だよ、目の前に居るよ、しっぽは触んなよ。

「わかんないよね。まぁ居ないって事は気のせいだったってことかなー、あ、案外お前の御主人だったりする?」

おいヤメロ、オレ(小野寺)とオレ(猫)を関連づけるな、頭撫でさせてやっからこのオレの愛くるしい仕草でそんな考え忘れてしまえ。

「え、えーと、長谷川くん?パニクッて欲しいわけではないけど、もうちょっとこう緊迫感欲しいっていうか…」

だよな、朝まで出られないってーのに、何呑気に猫撫でてんのかって話だよな、あ、そこもっとお願いします。

「焦ってもどうにもならない事だからね。夕飯逃しちゃうのは辛いけど一晩寝たら解放されるんだし、不自由な時間なりに穏やかに過ごした方が楽じゃない?」
「でも…」
「君もそんなところに居ないでどこかに座ったら?」

穏やかな委員長の様子に戸惑いながらも座る生徒は、それでも居心地悪そうにもぞもぞと動いては辺りを見回している。
そしてオレは首のうしろを撫でてもらえてごきげんだ。

「ごめん、その、僕のせいで、…」
「あぁそんなこと気にしてたの?只タイミングが悪かっただけだし、そんな縮こまらないで。むしろ今回のは鍵が閉まる時間帯に見回りの係が来なかった方が問題だよね」

次の定例会議で報告しないとなー、なんて難しそうな表情の委員長だがオレの喜びポイントを撫でる手は止まらない。
うん、もうどうでもいいや。

委員長のセリフにびくっと肩を揺らした生徒に気づいたことも
その人物の声こそが、先程後輩をここに閉じ込めようと話してたうちの一人であることも
おそらくは彼か彼の仲間が手をまわして見回り係を来させないように画策さたであろうことも

どーでもいいやーぁ……あ、そこは掻くようにしてくれないか委員長


だって気持ちいいんだもの





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