自問不答、モノクロな自分

疲れた。もう何もかも、真っ白。いや、ボクには真っ黒がお似合いか。
頭痛なんてものはもうない。ヴァニタスはもうボクを解放しているというのに、ボクはただ大の字でただ空を見上げていた。


「使えるかと思ったが、おまえは自分勝手に動いてばかり。旅立ちの地に捨てたところ、エラクゥスが運良く拾ったようだな」


捨てられたんだ、ボク。言うこと全然聞かなかったから、捨てられたんだ。
何だか笑えてきて「ははっ」と掠れた声で笑うが、相変わらず表情は変わらないまま。あまりにも虚しくて、醜い様だ。


「真実を知り、これからおまえが私の利益に繋がることを期待している」


「無駄、だね」


ボクはもうダメだ。
ゴロリと地面の上で頭の向きを変えて、ゼアノートを見据える。今のボクの目も、きっと虚ろだろう。


「期待に添えられる…ほどの、人間じゃ…ない」


ゼアノートの顔には笑みが刻まれたまま、ボクを嘲笑うように鼻で笑ってから背を向ける。
このまま朽ちようか。そう思って目を閉じた。
と、衝撃。まさにこれがデジャヴというものだろうか。ボクは誰かに両肩を抱えられ、そのままポイ捨てされる。
ドサリと受け身もとらず仰向けに倒れ込んだボク。どうやらボクはゴミと見なされて、闇の回廊に捨てられたようだ。扱いひどいな、と思いながら頭を上げて闇の回廊の入り口の先を見てみた。どうやらヴァニタスがやったようで、ボクをじっと見ている。


「―――」


入り口が閉じる寸前で、声は聞こえなかったが動かしている口はなんとか見えた。ボクは目を見開いたままもう既に閉じて何もない入り口があった場所を起き上がってただ見つめる。
唇が震えた。

『だから言っただろう』

ヴァニタスが言った言葉。
ボクは崩れ落ちる。

『大丈夫』

『行こうよ』

そんなことを言ってしまったのは誰でもない、ボクだ。ヴァニタスは忠告してくれていたのに。ボクはそれを軽いものだと無視していた。あまりにも愚かで愚かで、愚かすぎる。

闇の回廊の地面かどうかわからない場所に両手をついて、ボクは嘆く。知らなければよかった、と。生まれてこなければよかった、と。そうしていたら、こんなにも苦しんだりしなかった。
ゼアノートはヴァニタスも同じと言っていた。じゃあヴァニタスも今のボクみたいに苦しんだのかな。今のボクみたいに、絶望したのかな。

もしもボクが人だったら、マスターと、テラと、アクアと、ヴェントゥスと、笑えていたのかな。そして、楽しかったなって死んでいけたのかな。


「ど…して、どうして…!」


ボクは人じゃなかったんだろう。
ボクは闇の存在なんだろう。
ボクは生まれてきたんだろう。
ボクは生きているんだろう――


何度も何度も何度も自問自答を繰り返しながら、ボクは声が嗄れてしまうまで叫び続けていた。


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