真実、悲しき叫び

思い出したんだ。
頭が割れて眼球が吹っ飛んで血の涙をだらだらと流すというグロテスクかつホラーな展開に今にもなってしまいそうなほどに頭が痛い。さっきからボクは叫び声をあげてばかりでしかも頭を押さえながらバタバタと暴れ、ヴァニタスにはさぞ迷惑だろう。


「おまえはヴァニタスと同じだ。人ならざる存在、闇の存在。それがおまえだ、スペース」


「人、ならざる…」


ボクは人じゃなかった。
人だと信じて、表情を作るのは苦手だけれど、人と接するのは苦手だけれど、人と信じて生きてきた。

『すごいなお前!人かよ?』

『人』

人じゃ、なかった。


「あ、あぁ…」


ボクは勝手に、自分は闇に溺れたんだと信じ込んでいた。
けれど、違った。
ボクは闇に溺れたんじゃない、元々闇しかなかったんだ。


「ぅあ…あ、あぁぁ…っ」


マスター、イェン・シッド。
ボクは生まれてきちゃ、ダメだったのかな。
テラ、アクア、ヴェントゥス。
ボクは、ボクは初めから。キミたちの隣にいること、許されなかったのかな。


「あぁっ、あ…あぁあぁああぁアァアァアッッ!!」


こんなに苦しいのに。こんなに悲しくて、たまらないのに。
涙の一つも出やしない。
心の底から絶望したのは、これが初めてだ。


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