受賞、仲良しトリオと

「ヴェントゥス、アクア、テラ、スペースの四人です!」


ボクはぽかんとしながら「え」と声を漏らした。あの仲良しトリオが来ていたのも驚きだったが、いや、ヴェントゥスがチケットをあげていた時点で予想できないこともなかったが。ボクも選ばれたことに、ボクはただ口をあんぐりと開けていた。
皆がテラの方を見ながら騒ぎ立てる。すると、ボクが立っていた屋根の下から見知らぬ大男がステージまで駆けていく。


「なんだと!何かの間違いだ。今年はこのキャプテン・ジャスティスに票が集まったはずだ!そうだろ、おまえら?」


キャプテン・ジャスティスという意味不明な名前の大男がみんなに問いかけてみるが、無反応。思わず吹き出しかけるが、そんなことできなかったんだと諦める。
キャプテン・ジャスティスと名乗る大男は体を怒りで震えさせるが急に何かひらめいたように手を打ってから「だったらこっちか」とステージの端に行ったかと思えば、色違いの大男が出てきたではないか。


「孤高のレーサー、キャプテン・ダーク」


そう言って決めポーズをして見せたキャプテン・ジャスティス改めキャプテン・ダーク。だが、状況は変わらず無反応。それに加え、テラ以外のみんなはキャプテン・ダークから体を背ける。


「集計結果に間違いはありません。四人が今年の受賞者です。ピート、あなたの行動の動機はどうあれ、やろうとしたことはとても素晴らしいことなのですよ。ですから、わずかですがあなたにも票が入っています。あなたも誰かの人気者なのですよ」


ミニーが、泣けてくるくらいとっても良いことを言ってピートと呼ばれた大男は少し考えたように見えた。それくらいで心を改めてなんかくれなかったのか、ピートは鼻をふんっと鳴らす。


「票なんかどうでもいいんだ。いいから賞品をよこせ!」


そう言ってミニーなんか簡単潰せるくらいの手を持ったピートがミニーに手を伸ばす。ミニーは「ピート!」と怒りと少しのうんざりを混ぜた声で大男を呼ぶ。それに、ピートの手は止まる。


「これまであなたの行動には多少目をつむってきましたが、あなたに期待して、あなたのことを思って票を入れてくれた人の心をないがしろにするような今の言葉は許せません」


「へーんっ!許さないってどうするつもりだ」


体は大きくても精神年齢が低いらしいピートの頭にミニーの言葉を理解できるほどの知能はなかったようだ。


「少しの間、頭を冷やしなさい。衛兵!」


呼ばれて飛び出て、いや、ずんずんと歩いてきたのは一見ただの箒のようだが。その箒たちはピートを囲んで、ピートを持ち上げたのだ。なすすべもなく持ち上げられたピートは「こらー!」とか「放せったら、このー!」とか言いながらもがくが、それはすべてに無駄に終わり、どこかに連れていかれたピート。

(自業自得だな…)

ピートが連れていかれる様をみんなはじっと眺めていた。


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