守りたいもの、誰かの涙

『コラァ!』


怒鳴った声が聞こえた。
怒鳴ったのはどうやら今見えている視界の持ち主らしく、視界の持ち主は悪ガキ共を必死に追いかける。追い掛けるのを諦めたのか足を止めて荒れる息の中で『これ以上この子をいじめたら許さないからな!』と叫ぶ。
振り返ると少し離れたところで黒くて髪の長い少女が泣いていた。止めどなく溢れる涙をしきりに涙を拭いながら俯き嗚咽を漏らす少女。視界の持ち主はゆっくりと歩み寄ってその子を抱き寄せる。頭を撫でながら、背中を優しくあやすように軽く叩く。


『君は僕が守るから。泣かなくて大丈夫だよ』


抱き締められている少女は何も言わずに持ち主に抱きついて、ただ泣いていた。


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