拒絶、彩りの花束

闇の回廊の出口に入って直ぐに忘れかけてたフードを目深に被った。
出口を出ると、色とりどりの花が咲いた花畑に出る。前を見てみると、見知らぬ女性とテラが話してるようだ。その女性を見ているとまた胸の辺りがモヤモヤと言葉では表現できないような感じになるから嫌だな。


「アンヴァース!」


と、テラが言ったかと思えばキーブレードを取り出して戦闘体制に入った。
急にさっきまで話していたテラが女性に向けたわけでもない敵意と見たこともない武器と見たことなかっただろう敵に女性はもう混乱してパニック状態。女性はまさに女と言える叫び声をあげて脱走。女性の走っていく後に現れるアンヴァースにテラは女性を守ろうと追いかけようとするもアンヴァースに囲まれてしまって無理らしい。


「邪魔をするな!」


それからアンヴァースをキーブレードで倒していくテラにボクは歩み寄っていく。ボクの存在に気付いたのかテラはこちらを見る。


「危ない!」


ボクの方へ襲いかかろうとしているアンヴァースを一振りで消し去る。いっそのこと全部やってしまえ、とテラを囲むアンヴァースを全員やっつけてやった。ボクに感謝するんだね。
さっきまで女性が摘んでいた花の束を拾い上げて、匂いを嗅いでみる。なんとも芳しい。


「スペース…」


テラの言葉に良い気分が壊された。黒コートに彩り鮮やかな花束は似合わないな、と思いつつも花束を片手で持ちながら振り返る。


「訊きたいことがたくさんある。それに、君には帰還命令が出ている」


「マスターから?」


「あぁ」


隠しもせずに頷いてみせるテラ。隠す必要も何もないのだが。
ボクはテラに聞こえるようにため息をついてからキーブレードを持ち直してキーブレードの先をテラに向けた。

(夢のことを聞いてやろうと思ったけど、止めた)

ボクはまだ帰れない、帰りたくない。
だって何も見つけてないよ。探そうと思って出たばかりなんだよ。これ以上わからないままでいたくない。
知りたいから、帰らない。


「帰らない」


「マスターは君を心配している!だから――」


「黙れよッ!」


花束を放り投げる。急に敵意をテラに向けたボクに、テラは目を見開いてボクの一撃をテラのキーブレードで防御した。
金属音。あの時のテラとアクアの試験の時と同じ、キーブレードが交わる音。
キーブレードをテラのキーブレードが交わったまま薙ぐと、いとも簡単にテラのキーブレードは吹っ飛んだ。キーブレードが手から離れて仰向けに倒れたテラに馬乗りになり、両手で握り直したキーブレードをテラの胸に向ける。冷や汗を流すテラ。


「うるさいから、消えろ」


キーブレードを上へ振り上げた。このまま一直線。下ろせばテラは、消える。
ああ、あっけないな。


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