◆ Chain ◆ 登場人物
空は。前まで手が届きそうなほど、掴めそうなほど近くにあったはずなのに、今ではあんなに遠い。そもそも、今の私は伸ばす手などもうとっくに無いというのに。 それでもあんなに、こんなに空に想い焦がれてしまうのはきっと、私があの子のことをまだ覚えているからなのだろう。 私たちを見下ろす仄明るい月、満天の星。そして、空いっぱいに咲いた眩しいお花と、その光で黒くなって見えなくなる君の笑顔。 こんなに鮮明な君との思い出も、直に悪い人に食べられてしまう。まるで、大食いの人が味を噛み締めもせずに食い散らかしていくように、私の思い出は徐々に虫食いだらけになって、そして消化されておしまい。
生きたかった。
そんな願望が頭を過っては、むしゃむしゃと食べられてしまう。良いのだ。きっと、これで。そう納得しては、私は今日も無機質な天井を見上げるのだ。 手ももうボロボロで、痩せ細ってゾンビみたいになって。これじゃあ、あの子に会っても嫌われてしまうかもしれない。良いのだ。きっと、これで。そう納得しては、私は今日もノイズのような声を漏らすのだ。
誰か助けて。
私じゃない。優しいあの子はきっと今、自分を責めている。優しいあの人はきっと今、自分を罰しようとしている。私はあの子も、あの人も、笑っていてほしい。いつまでも笑顔でいてほしい。笑顔を失ったその何倍も、何十倍も、何千倍もいっぱいいっぱいずっとずっと笑顔でいてほしい。 私は善人ぶりたいわけでもないし、神様になろうだなんてそんなことこれっぽっちも思ってはいない。でも私は、あの子やあの人に比べてずっと無力だから。 だから、私のやっていることが間違いだなんて思ってない。きっと報われる日が来る。だって、みんなは誰かに愛されるために産まれてきたんだもの。いらない存在なんてない。 いらないって言われたなら、その言った子を怒ってあげる。いらないって言われたなら、私があなたが必要だって何回も言ってあげる。この力は、きっとそのために神様が与えてくれた。そう信じているから。 でも、あの子もあの人もいつでも手の届く場所にいたのに、いつの間にか遠くに行っていて。だから、私の代わりにあの子もあの人も愛してあげてほしい。私が出来ないこと、誰かに押し付けちゃってもいいかな。 お願い。お願い。誰か。どうか。あの子も、あの人も、誰か。
「――たす け て」
ああ、空が見えない。あなたはあの頃と同じ空を見ていますか。
◆ 登場人物 ◆ TOP 学園長 生徒会 委員長 その他
上森学園学園長 尸 者(コト)
上森学園生徒会 生徒会長 白刃 冀顱(キロ)
副生徒会長 剴晏慈 旋璢(メグ)
副生徒会長 誄 紲拿(セツナ)
書記 亂徒 佚(イツ)
会計 煕鴪 厶土(シド)
庶務 雛鳳 悧襾(リア) 雛鳳 生亞(アリア)
上森学園委員長 生活委員長 禁忌 封孤(ホウコ)
環境委員長 輪廻 衆生(シュウ)
保健委員長 源 丐流(カイル)
体育委員長 鳳 アルト、キルト
放送委員長 巡瑳 ミント
図書委員長 修羅 獨(ヒト)
飼育委員長 傀儡 ユエ
その他 時雨
相庭 霞夢 相庭 馨 相庭 穹
煕鴪 亥土(カイト)
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