6/26 翔春



 俺には大切なものがたくさんある。仕事も仲間も家族も、全部全部大切なものだ。
 その全てが俺を形作る上で、生きていく上で大事なものだから、何が一番とか、これだけがあれば他のものはいらないとか、そういうことは冗談でも言えない。だから、春歌のことは確かに大切だけど、唯一でもなければ一番でもない。

 でもな、春歌。お前がいなかったら、俺が大切に思うものはきっと色褪せて見えるに違いないんだ。
 お前がいるから仕事を頑張れる。お前がいるから仲間や家族を大事にできる。お前がいるから世界を愛せる。春歌がいるから、俺の世界は鮮やかで、愛しく見えるんだ。
 だから俺はお前を失えない。お前が消えた世界はきっと寂しくて、耐えられそうにない。
 なあ、春歌、頼む。どうかここで、俺の世界の中心で、笑っていてくれ。






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