12/4 嶺春



・(状況がよくわからない感じの)嶺春


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 前にね、こんなことを考えたことがあるんだ。ぽつりと咲いた彼の声に顔を上げる。
「好き、って言葉を使いすぎると、いつか気持ちが擦り切れて無くなっちゃうんじゃないかって」
 だから、想いを込めてその二文字を口にしないようにしていた、と。苦く笑いながら彼は続けた。
「でも、それは勘違いだったみたいだ」
 声の調子が明るくなった、でもどこか、涙の気配が混じった声だ、そう思った瞬間には春歌は嶺二の腕の中にいた。壊れ物をそっと扱うように、けれどしっかり、離れないように、彼は春歌を抱きしめる。
「ありったけの想いを込めても、声の限りに叫んでも、枯れる気配がない。むしろ後から後から溢れて大変だよ」
 伝わってくるのは、嶺二の温度と、感情だった。緩やかに溢れる穏やかなそれに緊張していた身体から力が抜ける。
「ねぇ、春歌ちゃん」
「……はい」
「ぼくの気持ちは伝わってるかな。好きだって言う度に増えるこの気持ち……届いてるかな?」
「はい。嶺二さんの気持ち、伝わっていますよ」
 だって、そうでなければ、わたしはきっとこうして抱きしめてくれる嶺二さんの体温を心地好いと思わないに違いないんです。
「届いています、全部、全部」
「春歌ちゃん……」
 きゅっ、と嶺二の背中を抱きしめる。その広い背中に走る震えに、春歌は知らぬふりをした。


【相愛性理論/嶺春】


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 大好きなんです、この歌。なので色々なカップリングで書きたくなるのです…





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