天然素材二人組



「文次郎ー、開けてー。僕だよー、善法寺伊作だよー」


ガチャ


「…朝っぱらから、インターホンをピンポンピンポン連打するのはやめてくれよ、伊作」

「え?留三郎?何で文次郎の家にいるの?」

「ん?泊まったからだけど?」

「…泊まったの?留三郎、文次郎の部屋に?」

「え?何か変か?」

「いや、別に…」

「…誰かと思ったら、伊作か」

「あ、文次郎。お前どこ行ってたんだ?心配したんだぞ、隣で寝てないから」

「隣!?」

「何?伊作いきなり…」

「い、いや…」

「ベランダに雀がいたから、観察してただけだ」

「何だ、そうだったのか。…あれ?文次郎、パジャマのボタンがちぐはぐだぞ」

「ちぐはぐって…お前が昨日填めたんだろ…」

「あ、そうか。文次郎、あのまま寝ちゃったからな」

「ボ…ボタン填めてあげたの?」

「え?だって裸じゃ風邪引いちゃうだろ?」

「い、いやそうじゃなくて…」

「でもパジャマ着ると暑いんだよな。留三郎の体温、高いから」

「…まさか密着ですか?」

「え?仕方ないだろ、ベッド狭いし…」

「いや、だからそうじゃなくて…」

「だって抱きしめておかないと、文次郎に毛布全部取られちゃうんだぜ?」

「うーむ…。留三郎が結構すぐ風邪引くのってこれが原因か?」

「…いや…だから…」

「あと俺、何か抱きしめてないと、寝れないんだよなぁ」

「そうそう。俺がわざと離れたら、枕抱きしめて寝てるもんな、お前」

「コノヤロ、わざとだったのかよ!………って、どうした?伊作?」




「いや…僕は今日も不運だな、と思って…ね…」


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