健全な十五歳男子による不健全な会話の一部始終

※やや不健全注意



「やっぱ、胸は大きいに限るだろー!!」
「小平太は巨乳派か?」
「もちろんだ!」
「伊作は?」
「えー?大きさどうこうじゃなくて、形の良さが重要じゃない?どう思う仙蔵?」
「ふむ、私もどちらかと言えば、伊作の意見に賛成だ。長次はどうだ?」
「……もそもそ」
「『別に気にしない』だって」
「えー?みんな分かってないなぁ。巨乳は男のロマンだろー?私が少数派なんて、そんなの変だ!」



 朝っぱらの食堂で、何故こんな話をしているんだ、こいつ等は。



 小平太、伊作、長次、仙蔵、そして文次郎。
 今日もいつもの面子(マイナス1)で朝食を取っていたのだが、文次郎が急須を取りに席を立った数分の隙に、会話の流れは何やら不健全な方向に行ってしまったようだ。

 文次郎が席にも座らず、急須を持ったまま立ち尽くしていると、

「で、文次郎はどうなんだ?」

と、急に話題を振られてしまった。

「お、俺…?俺は、えっと…」

 元々このような話題が苦手な文次郎は、只々言葉を濁すことで精一杯である。まぁ座れ、と仙蔵に促されて、一先ず席に腰を下ろす。





「やっぱり胸は、デカければデカい方が良いよな!」

……デカい胸。…だめだ、牛しか思い浮かばない。

「いいや、形だね!」

……所謂、御椀形って奴か?御椀と言えば、今日の味噌汁も旨そうだ。冷める前に早く飲みたい。

「……もそ…もそもそ、もそ…」

……聞こえん。何か長次なりに主張しているようだが、全く聞こえん。

「もしかして、お前胸派ではなく尻派か?それともくるぶしフェチか?まさか私と同じで喉仏フェチか?」

……流石仙蔵、マニアック過ぎて付いて行けねぇ。何で俺、こいつと同室なの?





 そう文次郎が心の中でつっこんでいると、入口から入ってきた留三郎が、遅くなってすまん、と言いながらこちらの机に向かって来た。

「おー留三郎!丁度良い所に来たぞ!お前は巨乳派だよな!」
「あー、確かに留三郎は巨乳派っぽいよね」
「…もそ…」
「ふん、馬鹿はデカい乳が好きだと言うしな」
「……なんだ、胸の話か?」

 留三郎は文次郎の右隣に座り、自分の分のお茶を湯飲みに注いだ後、そうだなぁ、と言って一瞬目だけで上を見る。
 そして何を思ったのか、留三郎は突然両手を隣に伸ばし、その両手をするりと文次郎の忍装束の中へと侵入させると、素早く胸の“とある部分”に手を触れさせた。






「んぅッ」






 留三郎の予期せぬ行動に思わず甘い声が出てしまった文次郎は、自身の口を両手で塞ぐのが精一杯だったようで、そのまま真っ赤になって固まってしまう。
 唖然とするギャラリーを尻目に、留三郎はニヤリと笑うと、





「やっぱ、胸は感度だろ」






と、自信満々に言ってのけた。


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