急げ、明日になる前に




何度も愛し合った、その後に。

文次郎がすっかり寝入っていることを確認して会計室を抜け出した。
用具倉庫に置きっ放しのプレゼントを取って戻ってくる。
それを文次郎の顔の横に置いて、寝顔を見詰めた。
起きた時に驚いて貰うってのが俺の新しい計画なんだけど。

「…また上手くいかなかったりして」

まぁ、それも悪くないけれど。
文次郎と二人なら、どんなアクシデントだってシアワセに変えて行ける気がするから。

少し汗ばんだおでこに唇を押し当てて、

「誕生日、おめでとう」

俺は文次郎の隣で、そっと目蓋を閉じた。



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