愛しい貴方に、愛の花束を。




どうしたものか…。

なんとなく会いづらくて(情けない自分をこれ以上さらしたくなくて)文次郎を避けていたら五日も経ってしまった。

今まで二〜三日に一度は会っていたから、これは明らかに避けているとわかる。
あの日のメールさえ返信してないし。


…俺、最悪だよな。


本当は会いたいのに、会いに行けない意気地なし。


文次郎も少しは俺の事、思ってくれている?

それとも俺なんて頭の隅にも思い出してないんだろうか。

俺に会えなくても、何ともないのだろうか?


ふと気付いたら電車の窓に写った自分の顔が泣きそうになっていた。
なんだか見たくなくて思わず目を逸らす。

…マジでへコみそうだからこの考えはやめよう。

ここ数日、覚えてない程ついたため息をまた吐いて、俺は開いたドアからホームへと降りた。


今日も店には寄らず真っすぐ帰ろうか…。

その前に文次郎はとっくに帰ってしまってるかもしれないけれど。
こうして駅にいたってすれ違う事もないし。
(彼の家は隣駅だけど、いつも家から徒歩で来ていて電車は使わないのだ)

そんな事を思いながら改札をぬけた、その時。
ポケットの中の携帯が震えた。

開いてみると文次郎からのメールで。


『今日は仕事だよな?もし時間平気なら帰りに店に寄ってくれないか?』


………どうしよう。



でも。

ここで逃げたら終わってしまう。
こんなに好きになった人と、もう二度と会えなくなってしまう。


「そんなの嫌だ」


俺は携帯をポケットに押し込んで走りだした。




文次郎に会いたい。

呆れられているかもしれない。

怒られるかもしれない。

それでも、とにかく、どうしても。

文次郎に、今すぐ会いたい。


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