愛しい貴方に、愛の花束を。




…あの日、抱き締めた腕の中で文次郎は幸せそうに笑ってくれた。

俺の背中に腕をまわして、笑ってくれたんだ。


それがとても嬉しくて仕方なかったけれど、同時に文次郎の気持ちは恐くて聞けなかった。

だって「気持ちが知りたい」と言って「悪いけど」なんて返された日には…たぶん、いや、絶対に立ち直れない。

あの後呑みに行く場所決める時も俺の家に誘ったんだけど「悪いだろ」と断られてしまったし。

結局は駅近くの呑み屋に入って朝まで飲んで、そのまま解散。

はぁ。
なにやってんだろ、俺…。

すっかり臆病になってる気がする。

とか言いつつ、文次郎と花屋で会う日々は続いてるんだけど。

今も店に向かっている所だし。

なんだかんだ言ったって、文次郎に会えるのは嬉しい。

少しだけ消化不良な感じは否めないけど、答えを急かしても良くないだろ?


…よし、気長に頑張れ俺!


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