愛しい貴方に、愛の花束を。




自宅から駅までの道に一件の花屋がある。

そこにはいつも、男の店員が一人だけいて、俺は開店の準備をしているその人を毎朝見て通勤するのが日課になっていた。

心の中で挨拶をしたり、「あ、今日はいつもより隈が薄い」なんて思ったりして。

それは何気ない習慣だった筈なのに、気が付けばその店員の姿を見ない日は落ち着かない自分がいたりした。

男相手に何考えてんだ?と思った事もあったけれど、気になるもんは気になるんだから仕方ない。

あの人と話がしたい。

いつしか、そんな事を考えるようになって俺はある決意をした。

…そうだ、花を買いにいこう。

でも何の為の花を買えばいい?

まさか部屋に飾るってのもなぁ。

…。

……。

……閃いた。

あの人にあげるつもりで買ってみてはどうだろうか。

俺は花を買いに行く口実を思いついて一人浮ついた。

よし、次の休みに行くぞ…!


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