小話
2012/04/06 22:54

「見ろ留三郎、桜だ」

「へぇ、こんな所に。ん?この桜、普通のよりも桃色が強いな」

「ホントだ。…なぁ、留三郎。桜の花びらが何故桃色なのか知ってるか?」

「いや、知らない」

「桜には、沢山の想いが詰まっているから、らしい」

「え?」

「ほら、桜の季節って春だろ?別れの季節でもあり、出会いの季節でもあるわけだ」

「ああ」

「新しい出会いで恋に落ちた奴の想いは情熱の赤。別れで恋を失った奴の想いは真っ白。二つの色を足すと桃色になるだろ?」

「…じゃあ、この桜は桃色が強いから、きっと沢山の恋の始まりを見て来たんだな」

「…かもな」

「……ここで口吸いとかしたら…この桜、もっと桃色になるのか?」

「はあ?」

「俺の想いと文次郎の想いを受け取ったら、真っ赤になっちゃったりして」






「……試してみても良いぞ?」